多摩川の河川敷に隣接し、周囲に心地の良い自然が広がる立地に建つヴィンテージマンションのリノベーションである。複数の棟で構成されるこのマンションは、空地のランドスケープや外壁・共用部がタイルで印象的に仕上げられており、周囲の自然と調和しながら一体的な景観を形成している。外壁で使用されている素焼きタイルやエントランスホールの白色の釉薬タイルを引用しキーマテリアルに据え、それらに素焼きのようなザラッとしたテクスチャの毛足がランダムなカーペットと、釉薬をかけたような半透明白色のオイルで仕上げたナラの突板を合わせた。複数のマテリアルの色味とテクスチャを慎重に検討し、それぞれの素材感を保ちつつも統一感のある空間として構成した。キッチン・トイレ・洗面などの水回りはあえて素材やトーンをガラッと変え、そのコントラストが互いを引き立て合うことを狙った。また、マンションの規約上、素材や間取りを竣工時の仕様から変更することが認められていなかったが、丁寧に協議を重ねることで、性能的な変化が無い素材や間取りの変更の承認を得ることができた。このプロジェクト以後の他の住戸の改修はこの前例によりリノベーションが少し自由になる。マンションリノベーションにおいて住戸と共用部のデザインが断絶されるのではなく、相互に参照し合いながら更新されていくことで互いの価値を高めていくリノベーションのあり方の提案である。
多摩川の家
Residence @ Tamagawa, Tokyo
Design: Yu Yamada, Mako Shimanuki /SNARK Inc.
Construction: KOUSHOU
Steel products: gambit
Total area: 114.43㎡
Completion: Jul. 2024
Photo: Ippei Shinzawa