西鎌倉の緑地帯に囲まれた住宅街における戸建住宅の計画である。敷地は鎌倉市の風致地区に指定されており、建物の高さ制限をはじめ、敷地境界からのセットバックや緑化義務など、厳しい規制が課された土地である。周囲は高擁壁の上に住宅が建ち並ぶ環境であり、外部からの視線を遮りプライバシーをどのように確保するかが大きな課題であった。緑化義務によって周囲の全邸に植物が植えられている点と高擁壁によるレベル差に着目し、屋根を低く構えることで周囲からの視線を適度に遮りつつ、自邸の庭と周辺に広がる豊かな緑化空間をひとつづきに切り取る建築のあり方を模索した。建物は3.5間×3.5間の正方形プランとし、北側隣地に対しては視線が抜ける方向へ高く立ち上げた。南側に対しては庭に向かって低く構える片流れ屋根とし、1階に寝室や収納、水回りを集約し、2階に伸びやかなLDKを配置した。LDKはトイレと収納を納めたコアを中心に回遊できるプランとし、朝の身支度から在宅勤務まで、住人の多様な生活をしなやかに受け止める。上下階をつなぐ南側の階段は半間ほど外へ跳ね出しており、階段下のデッドスペースを解消するとともに、採光と視線を調整するバッファーとしても機能する。
周辺環境を丁寧に読み解き、ネガティブな与条件を付加価値として捉え直すことで、この土地ならではの豊かさを宿す建築を目指した。
西鎌倉の家Residence @ Kamakura, Kanagawa
Design: Yu Yamada, Shota Kaneko, Suzu Shimabukuro /SNARK Inc.
Construction: KOUSHOU
Steel products: gambit
Planting: en landscape design inc.
Total area: 85.28㎡ (1F/42.64㎡ 2F/42.64㎡)
Completion: Sep. 2025
Photo: Ippei Shinzawa